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回帰反復 かいきはんぷく epanodos


『ずっと、忘れない』3ページ(折原みと/実業之日本社 MBコミックス)
忘れない。

いつか、大人になっても。

泣いて、笑って、
傷つきながら、

必死で走った、
あの頃のこと…。

いつか、
みんな
大人になっても--…。
-『ずっと、忘れない』3ページ(折原みと/実業之日本社 MBコミックス)
  • 定義重要度1
  • 回帰反復 は、しばらく間をおいてから、前に出てきたことばをくり返すレトリックです。つまり、だいぶ長い間ほかへ話をずらして脱線してから、もう一度、前のことばを反復するものです。

  • 効果
  • 効果1 わき道にそれた文の流れを、もとにもどす
  • 横道にそれた話題をもとに戻すために、「回帰反復」を使う。そのことで、話の展開をうながすことになります。
  • キーワード:脱線、外す、そらす、逸脱、外れる、脱する、ズレる、ズレ、それる、遠ざける、遠ざかる、ズラす、閑話休題、戻る、戻す、立ち直る、立て直す、立ち戻る、立ち戻す、返る、返す

  • 使い方
  • 使い方1 話を本題に戻すときに、同じフレーズを使う
  • かなり長い間、話をズラす。そのあとで、本筋にあった話題に戻る。このときに、話をズラす前にあったフレーズをもう一度使う。これが「回帰反復」です。

  • 例文を見る)
  • それで、例文は『ずっと、忘れない』から。

    これは、このマンガの最初のページです。表紙をめくると目次があって、その次のページが引用した部分になっています。ですから、あらすじとか前置きとか、そういうものは書くことができません。

    ですので、それはさておいて、この引用した部分を見てみる。すると、始めのほうに、
    いつか、大人になっても。

    という言葉があります。そのあと読み進んでいくと、最後になって、
    いつか、
    みんな 大人になっても--…。

    という似た文が出てきます。こんなふうに、ある言葉が出てきたあと、少し時間をおいて似た言葉が出てくるのが「回帰反復」です。

    この「回帰反復」をはじめ、「 首句反復 」「 結句反復 」などのレトリックは、詩の中で多く使われるものです。つまり、散文が主体となっている「マンガ」では、あまり見かけるレトリックではありません。


  • レトリックを深く知る
  • 深く知る1 「epanados」という用語の混乱
  • これから下には、レトリックの分類として気になったことを書きます。言いかえると、小難しいことを書くことになります。ですので、レトリックを極めたいという変わった人でなければ、読み飛ばしてかまいません

    で。
    たしかに、日本語の「回帰反復」というレトリック用語の使い方には、あまりズレはありません。このページの一番はじめに書いたとおりです。

    問題は、英語(+ギリシア語+ラテン語)の呼びかたになっている、epanodosというレトリック用語のほうです。つまり、epanodosというレトリック用語がいかに混乱しているかを、これから下に記していきます。

    とりあえずこのサイトでは、epanodosについては、「回帰反復」に当たるものだということにしておきます。しかし実際には、epanodosという用語は、色々な意味で使われることがあります。

    私(サイト作成者)の見る限りでは、epanodosという用語の使い方には、
    同じことばをくり返す

    くらいの統一感しかありません。

    いくつかの本から、epanodosについて解説している例をひろってみましょう。
    • 「回帰反覆」:だいぶ長い間ほかへ話題をずらして脱線してから再び前の語句を繰返すもの
    • --『言葉は生きている—私の言語論ノート—』(中村保男/聖文社)

    • 「行中行頭(行末)反復」:行中と行頭または行末に繰返す
    • --『レトリックと文体—東西の修辞法をたずねて—』(古田敬一[編]/丸善)

    • 「倒置復説」:(ii)前の語句の順を逆にして復説すること
    • --『研究社英語学辞典』(市河三喜ほか/研究社)

    といった感じです。見てのとおり、バラバラです。

    しかたがないので(?)、このサイトでは、epanodos=「回帰反復」、ということにしておきます。
    ちょうど、「回帰反復」にピッタリ当てはまる英語訳も見あたらないことだし。

  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 回帰反復

  • 参考資料
  • ● 『研究社英語学辞典』(市河三喜[編著]/研究社)
  • 「回帰反復」は、かなりマイナーです。このレトリック用語の例文を(手元にある資料で)書いてあるものは、これくらいです。


  • 余談
  • 余談1おまけ--『ずっと、忘れない』のつづき
  • と、これで終わりにしてしまうと『ずっと、忘れない』というマンガがどんなものであるかが全くわかりません。ですので、始めのほうのシーンを簡単に書くと、こんなふうになります。
    中3の春、主人公の「あずみ」は、ささいなことがきっかけで、学校の有名人の3人の仲間に加わる。しかし、自分とはあまりにも違う仲間たちの中で、最初はコンプレックスを持ち、とまどっていた。

    とまあ、最初の部分はこんな感じでしょう(って本当は、カバー見返しに書いてある「ストーリー」を、ほとんど転載していたりするのですが、それは気にしないで下さい)。