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隔語句反復
関連レトリック
隔語句反復
隔語句反復
かくごくはんぷく
epanalepsis
アキト「オレ……コックだから……
戦いは……」
ウリバタケ「てめーはまだ
そんなこと言ってんのか!!
男
だろ!!
男
だったら
戦って戦って戦い
ぬいて
1つでも多くの敵をやっつけて
死ぬべきじゃないのか!?
負けるとわかっていても
戦わなければ
いけない
時があると言って
笑って
戦い
に出ていくのが
男
じゃないのか!?
男
はつらいんだ!!
それはわかる!!
でもがんばれ
男の子
!!
うちてしやまん!!
負けません!勝つまでは!!」
アキト「……んなこと言ったって……」
-『遊撃宇宙戦艦ナデシコ』1巻115ページ(麻宮騎亜/角川書店 角川コミックス・エース)
隔語句反復
は、あいだを置いて同じことばをくり返すレトリックです。つまり、共通のフレーズだとか単語が、ちりばめるように何度も反復してあらわれるというものです。
何度も使われる語に、こだわりを強調する効果を生む
「隔語句反復」を使うことによる効果は、おもに「強調」です。ですがこの「隔語句反復」は、散りばめるようにくり返されるものです。このことから、コダワリが強いことや執着心があることを示すことがあります。「強調」という効果については、「隔語句反復」を含めた「反復」のグループに属しているすべてのレトリックにあてはまるものです。
:強調、強い、強まる、強める、強化、増強
1語以上離れた場所に、同じ語をくりかえす
1語も話さないで続けると、「
畳語
」になってしまいます。あいだを間をあけて同じ語句をくり返せば「隔語句語法」となります。
例文は『遊撃宇宙戦艦ナデシコ』1巻。
主人公は、アキト。コック志望。
コック志望なのに、なぜかアキトは戦闘中の戦艦に乗り込んでしまった。彼に対して整備班長のウリバタケが、パイロットとしてロボット(エステバリス)に乗るように説得しているのが、上の場面。
とにかく、「男」というのと「戦い」というのが、5回ずつ登場しています。ウリバタケの言葉自体には(ふき出しの大きさの割に)あんまり中身のないものですが、まあとにかく何度もくり返しています。ようするに「男なら戦え」と言いたいようです。
ついでに「言う」というのも2回くり返しています(これは偶然かも知れないけど)。
ちなみに、アニメ版の『ナデシコ』で名ゼリフとなったものに、ホシノ・ルリの「バカバッカ。」というのが。これは、繰り返しという点では同じ「
反復
」の一種ですが、こちらは「
類音反復・ジングル
」にあたります。
あらし「一言で言うなら
おカネ
にきたない人かな」
はじめ(一)「 ダメじゃんなにソレ」
あらし「コーヒー豆の交換のときも……」
--あらしの回想--
あらし「あれ?マスター いつもの
お豆じゃないと 良い香りが…」
マスター「いーのよ!! これからは
安いほーを使う!
どーせ バレやしないわ!」
「いーかいよくお聞き!
世の中
カネ
!! 全ての仕事は
おカネ
に通ず!!
慈善事業にすら
おカネ
がからむよヨ!!」
--回想おわり--
はじめ(一)「………………ひでえ」
「隔語句反復」というレトリックでは、あることばが何度もくり返されることになるのですが。そのことばは、「まったく同じもの」である必要はありません。
もちろん、間をおいて「まったく同じ」ことばを反復するものは「隔語句反復」です。また、似たような意味だけれども「まったく違う」ことばのくり返しは、「隔語句反復」には当てはまりません。
ですが。
間をおいて「ほとんど同じカタチの」ことばを使うばあい。このようなものも、ふつうは「隔語句反復」にふくめて考えます。
右の引用は、『夏のあらし!』1巻。
主人公は、はじめ(一)。13歳。
とある片田舎の喫茶店で、はじめ(一)は女のコと出会う。彼女の名前は、あらし。
あらしは、喫茶店で働いていた。そして、その喫茶店のオーナーをやっている女性についての話になった。それが、引用した部分になります。
マスターの女主人は、よっぽど「おカネ」に目がないらしい。そのようすを回想しているところが、「隔語句反復」になっています。
で、見てのとおり。
ここでは、「カネ」と「おカネ」という2とおりの言いかたがあります。ですが、「お」ということばが付いているかいないかという違いしかありません。ですので、こういった程度しかないような場合には「隔語句反復」と考えることになります。
というか、もう少し考えていくと。
ここでのマスターの発言。このような話の流れでは、むしろ、全く同じ単語にそろえないほうが正解だと思います。
というのは、まず第1として。
「すべての仕事は おカネに通ず」
というところ。これが、
「すべての道は ローマに通ず」
という「ことわざ」のパロディになっている。
そして第2に、
この「すべての道は ローマに通ず」という文が、
7音+7音
でそろっている。そういった2つのことを考えると、このように「カネ」・「おカネ」という2とおりの言いかたをしているほうが、メリットが大きいと言うことができます。
それは、反対の見かたをすると。
そろっている音の数は変えてしまうと、パロディであるという感じが弱まってしまう。
「おカネ」を「カネ」に言いかえてしまうと、6音になってしまうとでピッタリしない。
(それに日本語では、7音のフレーズのほうが好まれる。)
ということになります。
「隔語句反復」と「畳語法」との関係
「
畳語
」では、同じことばが連続してならべられます。けれども「隔語句反復」では、同じことばが間をおいて登場することになります。
隔語句反復
間投反復・隔語反復
『現代言語学辞典』(田中春美[編集主幹]/成美堂)
マイナーなレトリック用語なので、「隔語句反復」についてくわしく書いてある本は見あたりませんでした。どの本にあたっても、ほとんど解説がない。しかたないので、辞典ではあるけれどもこの本をあげておきます。
関連するページ
トートロジー
:まったく同じことばを、まったく同じ意味でくり返し意味を持たせるもの
異義復言
:同じことばを、違った意味でくり返すことで言葉の意味を再確認するもの
反復
:ことばを何度かくり返すレトリックのまとめ
そのた
●ことばをくり返すレトリック :
異義復言
-
畳句法
-
畳語
-
隔語句反復
-
循環論法
-
回帰反復
-
首句反復
-
結句反復
-
首句結句反復
-
前辞反復
-
おうむ返し
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