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派生語
関連レトリック
派生語
派生語
はせいご
derivative
斑目「おい 高坂」
高坂「はい?」
斑目「もう面倒くせえから
こいつにはじめての
チュウしたれ」
咲「やめてよ」
田中「あははは」
高坂「ん? する? 咲ちゃん」
田中「うはっ」
斑目「言うか-?」
田中「もう こーゆーキャラの」
咲「してもいいけど
なら先に
告ってよ
」
斑目「好きだよ 咲ちゃん」
咲「よし」
笹原「??」
-『げんしけん』1巻108ページ(木尾士目/講談社 アフタヌーンKC)
派生語
は、「る」のような独立性の低いことばを付けることによって、新しい語を作るレトリックです。ここでいう「独立性の低いことば」とは、「接辞」とよばれるもののことです。
仲間うちだけで通じることばを作る
「派生語」などの「
新造語法
」には、共通して言えることがあります。それは基本的に「仲間うち」だけで通じるものが次第に広がっていった、ということです。なので逆にいえば、「仲間うちだけでしか通じないコトバを作ってみたいときに、「派生語」は有効な方法だといえます。
:仲間、同士、同志、グループ、サークル、同類
世の中の流行をキャッチしていることを示す
また「派生語」が、流行をあらわすものとして登場することも多くあります。世の中の流行をとらえていと、自他ともに認められたい。そんなときに、その流行とともに登場した「派生語」を使うことで、世の中の流行にのっているということを表現できます。
:流行、はやる、はやり、ブーム、風靡
「接頭辞」などの「接辞」をつける
「接頭辞」や「接尾辞」「接中辞」といった「接辞」を、ある単語にくっつける。それによって、単語が新しい意味をもつようになったばあい、これを「派生語」と呼びます。
相手によっては、突飛すぎて通じないこともある
たしかに「派生語」は、時代を超えて使われているものもあります。ですが基本的には、ある時代の流行に乗って登場し、その流行の終わりとともにその「派生語」も寿命が来る。ですので、相手によっては通じないこともあるので、注意が必要となります。
引用は『げんしけん』1巻から。
作品の舞台は、大学のサークルのひとつとして活動している「現代視覚文化研究会」こと「現視研(げんしけん)」。
主人公は笹原完士。…なのですが、引用した場面にはちょっと関わっていないので、その説明は省略。
この引用した部分で知っておかなければならないのは「春日部咲」についてなので、そっちを説明していきます。
春日部咲は、めでたく大学に入学。その時、子供時代に近所に住んでいた「高坂」と偶然に出会い、恋人関係になっていく。高坂はルックスもなかなかいいし性格もやさしい。ニックネームは「コーサカ」。なんか名字そのままのような気がするが、とにかく、以下「コーサカ」と呼んでいくことにします。
それはいいとして、その恋人関係には大きな落とし穴があった。
コーサカは「オタク」だったのだ。
そしてコーサカは、「現視研(げんしけん)」に入会する。このサークルは、「アニメ」「マンガ」「コスプレ」「ゲーム」「同人誌」…(以下略)を総合的に楽しんでいるという、まさに「オタク」のためのサークル。そして、まったく「オタク」とは縁のないはずの春日部も、コーサカに連れられて「現視研(げんしけん)」に一緒に来るようになっていく。
で、コーサカが「はじめてのチュウ」(曲:あんしんパパ)を歌っていた(104ページ-105ページ)。そのことから、咲とコーサカとがチュウをするという展開になる(107ページ)。その時、咲が、
なら先に
告ってよ
と言う。この「告る」という言葉を「派生語」と考えます。ちゃんと、名詞の一部にあたる「告」に対して、語尾に「る」という接尾辞がついている。そして、そのことによって動詞として使われています。
そういえば。
この「告白する」という意味で使われる、「告る」ということば。このことばは、特に「少女コミック」にはたくさん登場します。きっと、「少女コミック」のなかでは、「恋愛」に関するコミックが、たくたんあるからだと思います。
「接辞」の例
さいしょのほうで、「派生語」は「接辞」によって作られると書きました。
この「接辞」には3つの種類があります。語の最初に付く場合には「接頭辞」、語の最後に付くものを「接尾辞」、語の中に付くときには「接中辞」といいます。これらの「接辞」が付くことばが「派生語」です。
ですが日本語では「接中辞」は、ほとんどありません。ですので実質的には「接頭辞」か「接尾辞」が使われます。また、その2つの中では「接尾辞」が多く、「接頭辞」は少ししかありません。
結局のところ、「接尾辞」と中心とした「接辞」を付けることによって作られる語。これのことを、「派生語」ということになります。
たとえば、最後につく接尾語が「る」の場合には、動詞を作ります。「コピる」とか「マクる」とかが、これに含まれます。また、最後につく接尾語が「い」の場合には、形容詞を作ります。「グロい」とか「エロい」とかが、これに含まれます。
「派生語」の品詞
「派生語」の品詞は、一番最後の語(辞)によって決まります。
たとえば、「コピー」+「~る」=「コピる」のばあい。一番最後に来ているのは、「~る」です。この接尾辞「?る」は、単語を動詞にするはたらきがあります。ですので、それを最後につけた「コピる」は動詞になります。
ぎゃくに、「こ~」+「ネコ」=「こネコ」のばあい。一番最後にあるのは、「ネコ」です。この「ネコ」という単語は、名詞です。なので、この「ネコ」という単語を最後につけた「こネコ」は名詞(のまま)となります。
時代ごとの「派生語」の使われかた
1980年代くらいの、ちょっと昔には、「~る」ではなく「~する」が使われていたようです。例えば、「マジメする」とか「タバコする」といった具合です。
しかし、時代の流れにともなって、「~する」は使われなくなりました。「~する」という新語は、流行語としての使命を終えて、「死語」になってしまったわけです。
しかし例外として、「お茶する」のように、日常語として生き残ったものもあります。
「生き残った」といえば。
この「~る」は、昭和初期にも「新語」をつくるために使われていました。今でも残っているものとしては、「サボる」「アジる」「ダブる」くらいです。当時は他にもたくさんあったのですが、ほとんど死語として使われなくなっています。
漢字に「~る」をつけたものにも、昭和初期に使われていたもので生き残ったものがあります。「牛耳る」「皮肉る」などです。
思うに。
このページも、何十年か更新しないでおくと、「死語」が並べてあるページになってしまいます。まあ、数年に1回のペースで大きな更新をする必要が出てくるでしょう。
「派生語」と「複合語」との違い時代
「
複合語
」というのは、語どうしの結合によって作られるものです。
この「派生語」は、広い意味では「
複合語
」を含めることもあります。ですが、このサイトでは「派生語」と「
複合語
」とを区別しておきます。
派生語・派生
「金融派生商品」を意味する「デリバティブ」
このサイトで使っている「derivative」は、「
金融派生商品
」というものとは全く関係がありません。たんに「派生(derivative)」を翻訳した結果が同じものになったにすぎません。
「導関数」を意味する「デリバティブ」
「
導関数
」は、英訳すると「デリバティブ(derivative)」です。けれどもこれも、このサイトで使っている「derivative」とは関係ありません。
『新語はこうして作られる〈もっと知りたい!日本語〉』(窪薗晴夫/岩波書店)
いろいろな例をあげて書かれています。小さな《問》のコーナーがあるので、そういったものに解答しながら読み進めるのもよいかと思います。
『問題な日本語-どこがおかしい?何がおかしい?-』(北原保雄[編]/大修館書店)
やさしい日本語で書かれています。[きもい・きしょい・うざい]という項目が、この「派生語」にあたります。もちろん「派生語」とか「接辞」といった学術用語は使われていません。
『日本語解釈活用事典』(渡辺富美雄・村石昭三・加部佐助[共編著]/ぎょうせい)
かなりくわしい解説があります。「関心」という単語に、「接辞」にあたる「無〜」を加えて「無関心」とするといった、漢字の派生もあつかっています。
関連するページ
新造語法
:新しい語を作ること全般について
そのた
●新語の作成に関するもの :
複合語短縮
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混成語・かばん語
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新造語法
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濫喩
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派生語
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転成(品詞転換)
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ズージャ語
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サンドイッチ・ワード
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外来語
●言葉になにか加えて変化させるもの :
接辞添加法
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接頭辞法
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接尾辞法
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接中辞法
[ためにし作ってみた] :
おすとらんだむ~紹介している220種類のレトリックを、ランダムで選んでページにジャンプします。
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