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打ち返し うちかえし crossing


『バイトでウィザード』1巻27〜28ページ([原作]椎野美由貴・[漫画]佐伯淳一/角川書店 角川コミックス・エース)
  • 家長「瑠々(るる)ちゃんね…
  • 犯人の顏を見ている ハズなんだけど……
  • なんらかの理由で
  • そこだけ記憶を削られ
  • ちゃってるし……
  • そして うわごとのように
  • 『ヘ…ヘビが』 って…
  • 苦しそうなんだな--」
  • 京介&豊花(…)
  • 家長「ま… そんなワケだからさ
  • キミたちも 気をつけてよ--」
  • 豊花(ゆたか)「あの
  • 手段 のためなら
  • 目的 を選ばない
  • 瑠々(るる)が
  • やられるなんて…」
  • 京介「犯人は相当の使い手
  • だということだな…
  • 記憶の操作は 高等術だし」
  • 京介&豊花(しかし あの瑠々が…)
  • 瑠々「あはははは えーい
  • 死んじゃえー」
  • (手榴弾 ゴゴゴ)
  • (バズーカ砲 ボコーン)
-『バイトでウィザード』1巻27〜28ページ([原作]椎野美由貴・[漫画]佐伯淳一/角川書店 角川コミックス・エース)
  • 定義重要度1
  • 打ち返し は、「ことわざ」の中で使われていることばを、少し入れかえるレトリックです。その結果として、もとの「ことわざ」とは反対の意味をもつものになります。

  • 効果
  • 効果1 もとの「ことわざ」とは正反対のことを伝える
  • 「打ち返し」というのは、もともとの「ことわざ」を正反対にひっくりかえすものです。したがって、従来の考えかたとは反対のことを示すことになります。
  • キーワード:反対、逆、さかさ、さかさま、正反対、対立、ひっくり返す、うらがえす、反転、逆転

  • 効果2 それでいて、「真実」の側面をもっている
  • もとからある「ことわざ」とは、まるで反対のことを言う。ですが、それでいて世の中がもっている「真実」を伝えることができる。それが、「打ち返し」の大きなポイントです。そのため、思いがけないような意表をつく言いまわしになります。
  • キーワード:反面、側面、意表をつく、思いがけない、予想外、図らずも

  • 効果3 カタチの上では反対のことを表現するので、諷刺を作るときに役立つ
  • 「ことわざ」というのは、世の中の道義とか真理といったものを表していることがあります。このような「ことわざ」の「打ち返し」を作ったばあいには、世の中を諷刺するフレーズとなります。
  • キーワード:諷刺、当てつける、当てこする、非難、批判、皮肉、アイロニー、イロニー、茶化す、ばかにする、からかう、冷やかす、あざける、諷する

  • 効果4 キャッチフレーズなどにすることもできる
  • この「打ち返し」は、キャッチフレーズや標語などを考え出すときのアイディアとなるばあいもあります。
  • キーワード:キャッチフレーズ、スローガン、標語

  • 使い方
  • 使い方1 もとの「ことわざ」を踏まえる
  • 「打ち返し」をつくるためには、もとになる「ことわざ」を決めます。その上で、その「ことわざ」に使われている言いまわしを、少し入れかえます。
  • キーワード:取りかえる、差しかえる、切りかえる、入れかえる、踏まえる、よりどころにする、置きかえ、ズラす

  • 使い方2 「ことわざのパロディ」をつくる
  • 「打ち返し」は、いうなれば「ことわざのパロディ」です。なので、その「ことわざ」にとって特徴となっている枠ぐみを残しながら、別の意味をもったフレーズを生みだします。
  • キーワード:パロディ、定形、外形、特定、特徴、特有、文体、スタイル、特色

  • 例文を見る)
  • このページの、いちばんはじめの画像は、『バイトでウィザード』1巻から。

    主人公は、豊花(ゆたか)と京介。双子のきょうだい。

    2人は、「光流脈使い」というのを仕事にしている。その「光流脈使い」というのは、なんなのかというと、
    大地を流れる
    光流脈の力を引き出し
    澱みから守り清める

    というもの。

    で、ここに。
    「光流脈使い」の2人に、ひとつの仕事が舞いこむ。

    さいきん、このあたりに「澱み」をつくっているヒトがいるらしい。しかも、同僚の瑠々(るる)が、そいつにやられてしまった。

    そこからが、引用のシーンとなります。

    「打ち返し」がつかわれているのは、
    • 豊花(ゆたか)「あの
    • 手段 のためなら
    • 目的 を選ばない
    • 瑠々(るる)が
    • やられるなんて…」


    というところです。

    そう。ふつう
    目的 のためなら 手段 を選ばない」

    という言いまわしがつかわれる。なのに、
    手段 のためなら 目的 を選ばない」

    になっている。だから「打ち返し」だというわけです。

    そして。
    たしかに瑠々(るる)は「 手段 のためなら 目的 を選ばない」のです。手榴弾やバズーカ砲を使うのが大好き。だから、そういった戦闘グッズを使うという 手段 のためなら、それがどういう理由であってもいい。つまり、 目的 は二の次なのです。

    まあ。難をいえば。
    目的 のためなら 手段 を選ばない」

    というフレーズは、それほど「ことわざ」っぽくない。なので、例としてあげるのにピッタリ適しているとはいえない、といったあたりです。

    なお。googleによると、
    手段 のためなら 目的 を選ばない」

    は、867件がヒットしました(2008年12月現在)。

  • 例文を見るその2)
  • 『貧乏姉妹物語』2巻52〜53ページ(かずといずみ/小学館 サンデーGXコミックス)
    • 金子「銀子。急ぎなさい、
    • 遅刻するわよ。」
    • 銀子「はい! お姉様」
    • 金子「お父様に お願いして
    • 小学校に近いから
    • このマンションを
    • 建てたのよ。
    • 絶対に遅刻なんて
    • 許しませんよ。」
    • 銀子「は、はい お姉様…」
    • 金子「皆勤賞をを取って、
    • 賞品をもらうのよ!」
    • 銀子「はい!」
    • (賞品はノートと
    • 鉛筆だけど……)
    • 金子「 タダより嬉しい物
    • ありません!」
    • 銀子(… 高い物 じゃ…?)


    もうひとつ例をあげてみます。

    右の画像は、『貧乏姉妹物語』2巻から。

    引用した部分には、主人公「きょう」と「あす」の姉妹は登場しません。なので、説明は省略しました。気になるヒトは「 トートロジー 」のページを見てください。そちらにシッカリと書いてあります。

    で。
    このシーンは、金持ちの姉妹「越後屋金子」「銀子」が会話をしているところです。

    姉の「金子」は、節約が大好き。節約といえば聞こえがいいけれども、もはや「ケチ」というのが実態です。

    その「金子」がいうには、
    タダより嬉しい物 はない」

    のだそうです。

    この言いまわしは。銀子がツッコミをいれているように、
    タダより高い はない」

    という「ことわざ」が、世の中に広まっていると思います。そういったわけで、これを「打ち返し」としておきます。

    この例についても、難をいえば。
    これが「まったく正反対」のことを示しているのか、やや疑問が残るということです。

    ですが。もとの「ことわざ」は、
    タダより高い はない」

    という、「タダ」であることに否定的なニュアンスを持っているの。これにたいして、
    タダより嬉しい物 はない」

    というのは、「タダ」であることを肯定的にとらえていると言えます。

    ですので。これもいちおう「打ち返し」にふくめていいとおもいます。


  • レトリックを深く知る
  • 深く知る1 「打ち返し」が使われている例
  • 上に書いたもののほかに。「打ち返し」でよく知られているのは、
    渡る世間は鬼ばかり

    という、ドラマのタイトル。これは「鬼はない」を差しかえて「鬼ばかり」にしている。そして、これまでの「ことわざ」とは、正反対のことを示している。ですので、「打ち返し」の例としては100点満点です。


  • 深く知る2 「地口」との関係
  • 地口 」というレトリックがあります。これは、格言・名言などのパロディを作るものです。そして、「ことわざ」のパロディを作るのも、「 地口 」にあたります。

    では。「打ち返し」と「 地口 」とは、どこが違うのか。そこらへんが気になるかもしれませんので、ふれておくことにします。

    まず第1として。
    「打ち返し」は、「ことわざ」だけに使うことのできるレトリックです。それにたいして「 地口 」は、「ことわざ」に限られず「慣用句」「名言」など、幅広い言いまわしに対応するものです。

    また、第2に。
    「打ち返し」は、もとの「ことわざ」とは180度反対の、まったく逆のことを示すものです。けれども「 地口 」には、そういった制限はありません。もうすこし進んでいえば「 地口 」というものは、「正しいか間違っているか」といった考えそのものを無効にしようとしているものです。いいかえれば、もとからある言いまわしを「意味のない議論だとして茶化してしまう」といった要素があるのです。ですので、この点も「打ち返し」とは異なります。

    そして、さいごに。
    「打ち返し」は、ことばのリズムやゴロといったものとは関係がありません。べつに、ゴロに合った言いかえをしたとか、そういったものではありません。ですが「 地口 」と作るときには、ゴロというのが特に重要となります。音やリズムを似せながら、冷やかしをする。それが「 地口 」にとっては、キーポイントとなります。ですので、ここも「打ち返し」とは異なります。

    まあ。
    区別したからといって、どうと言うことでもないのですが。

  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 打ち返し

  • 参考資料
  • ● 『日本のことわざ (四)概論・講説』(金子武雄/海燕書房)
  • この「打ち返し」のページをつくるとき、ネタ本になったもの-その1。該当するのは、「九 諺と打ち返し」の部分です。

  • ● 『ことわざのレトリック(ニュー・レトリック叢書)』(武田勝昭/海鳴社)
  • この「打ち返し」のページをつくるとき、ネタ本になったもの-その2。関連するのは、[第三章 ことわざの普遍性と特殊性]の「反対ことわざ」のところです。


  • 余談
  • 余談1このページは、「ネタ本」に頼って書かれています
  • この「打ち返し」のページは、上に書いたネタ本2冊に頼っています。ほとんど依存しているといっても過言ではありません。

    ただ。
    「地口」との比較については、サイト作成者が書き足しておきました。こちらは、オリジナルのものです。