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転成・品詞転換
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転成・品詞転換
転成・品詞転換
てんせい・ひんしてんかん
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サクヤ「………っ …ぎ逆ギレ……っ」
千広「~~……っっ…だから嫌なんだ
あんた… こわい」
サクヤ「ンな…!?こわいのは
むしろ千広くんの ほうだよ!」
千広「はぁ!? 俺のどこがこわいんだよ!」
サクヤ「ど…っどことか言った!
ぬけぬけしい!!
」
千広「
〝しい〟
ってなんだ
〝と〟
だろ
〝と〟
!!」
-『星は歌う』2巻113ページ(高屋奈月/白泉社 花とゆめCOMICS)
転成・品詞転換
は、ある品詞の単語を、もとの品詞とは違ったかたちで使うものです。
ことばの意味を流用するときに、自然によく使っている
「転成(品詞転換)の中には、日ごろ、なにげなく使っているものもあります。たとえば「楽しい(形容詞)→楽しみ(名詞)」とか、「流れ(動詞連用形)→流れ(名詞)」が、これに当たります。このようなばあい、「転成(品詞転換)」した状態のものであっても、ふつうに使われています。
:流用、転用、援用、役立てる、利用、活用、応用
これまでにない、印象的な新しい語をつくりだす
これに対して、逆のばあいもあります。使い慣れたものとは違って、これまでにない新しいことばを作る(「
新造語法
」)ときにも「転成(品詞転換)」が使われます。このように新しく作られたものについては、かなり技巧的な印象を与えます。
:新しい、いきいき、新鮮、新た、目新しい、耳新しい、新進、新来、新味、斬新、イレギュラー、彷彿、ほのかに
短い語句で、印象的な表現を生む
いままでになかった「転成(品詞転換)」は、印象的な表現を生むことも多くあります。そのため「転成(品詞転換)」は、短いことばで多くを伝えたいシーンで役にたちます。本のタイトル、「
警句
」、「俳句」「短歌」「標語・スローガン」など、さまざまなときに活用することのできるものだといえます。
:印象的、共感、実感、直感、ぴんと来る、衝撃的
ユーモラスなことば遊びを作りだす
ときとして「転成」は、「ことば遊び」に使われることがあります。
:ユーモラス、滑稽、おもしろい、おかしい、コミカル
新しいことばを使って、想像力のある詩的な表現を生む
新しいしいことばを使うことで、想像力あふれた表現をすることができます。また、新しい発想で独創性で詩的な表現を生むことができます。
:想像力、独創的、思いつく、考えつく、発想、アイディア、編みだす、考えだす、ひねり出す、才覚、創意、案出、発案、オリジナリティー、詩的
カタチを変えずに、別の種類の品詞に変える--「ゼロ派生」
ある品詞の単語を、異なる品詞の単語に変える。そのときに、変える前の単語のカタチと、変えた後の単語のカタチが、全く同じになっている。これが、「ゼロ派生」と呼ばれるタイプの「転成」です。この「ゼロ派生」が、いちばん狭い意味での「転成」ということになります。
この
の意味でこの「転成(品詞転換)」レトリックを呼ぶとき。そのばあい「ゼロ派生」以外の呼びかたには、
にあげた次のような呼びかたがあります。
:転換、品詞転換、品詞転用、(転成)
「接辞」をつけて、別の種類の品詞に変える--「派生語」「接尾辞添加」
もとの品詞に「接辞(接尾辞など)」をつけて、別の種類の品詞を変える。これも、「転成(品詞交替)」です。
これは、形式的には「接辞(接尾辞など)」をつけ加えているので「
接辞添加法
」です。また、このような方法でつくられた単語は、「
派生語
」とよばれます。
細かいことになりますが。
つけ加える「接辞(接尾辞など)」をつけ加える「
接辞添加法
」は、その位置に応じて「
接頭辞法
」「接中辞法」「
接尾辞法
」
これは、やや広い意味での「転成」ということになります。
この
の意味でこのレトリックを呼ぶばあい。そのばあい「派生」以外には、「品詞交替」「品詞転換」「転成」といった呼びかたがあります。
語をつけ加えて、別の種類の品詞に変える--「複合語」
2つ以上の語が1つになって、もともとの意味とは違うことをあらわすことを「複合(合成)」と呼びます。そして、「複合(合成)」によって新しく作られた単語をものを「
複合語
」といいます。この「
複合語
」のうち、品詞の転換をともなうものが、このページの「転成・品詞転換」にあたります。こちらが、いちばん広い意味での「転成」ということになります。
この
の意味でこのレトリックを呼ぶばあい。そのばあい「複合」以外には、
にあげた次のような呼びかたがあります。
:品詞転換、転成
いかにもレトリックっぽい感じを出す
だれも見たことがない「転成(品詞転換)」に出会う。そのとき、「新奇だ」とか「上っ面だけだ」とか、そういった印象を与えることがあります。つまり、悪い意味での「レトリック」におちいった表現だという印象を与えることがありえるのです。
引用は、『星は歌う』2巻からです。
下に書く説明は、やたら長いです。これでも努力したのですが、やっぱり長いです。しかも、すこしでも短くまとめるために、かなり無理な説明のしかたになっています。同じ『星は歌う』を引用して使っている「
列挙法
」では、もうすこしシナリオが、くわしいものになっています。なので「
列挙法
」のページも、あわせてご覧ください。
主人公は、高校3年生の「サクヤ」。そして、「サクヤ」と同じクラスに転校してきたのが、「千広」。
「サクヤ」は、すでに「千広」に2度会っていた。だから、これで3回目になる。転校生としてクラスで自己紹介されて出くわしたのが、3回目。
1回目の出会い、それは奇妙なものだった。「サクヤ」の誕生日パーティーを開いたとき、「千広」はパーティーに参加していた。もともと、「サクヤ」の誕生日のパーティーは、家族と2人で行うはずだった。なのに、なぜか「千広」は、これに参加していた。このため「千広」は、「ナゾの少年」というような扱いになった。
2回目の出会い、それは冷淡なものだった。たまたま「サクヤ」は駅のホームで、「ナゾの少年」の「千広」と出会う。このとき「サクヤ」は、ひどい悪口を言われてしまう(このシーンについては、「列挙法」もあわせてごらんください)。強い拒絶だった。「関わらないでくれ」と言われる。誕生日パーティの場に、なぜか居たり。かと思えば駅のホームで、ののしられたり。そんなわけで、「ナゾの少年」というような見かたが、強くなった。
3回目の出会い、それは意外なものだった。なぜなら「サクヤ」が通っている高校に、「ナゾの少年」である「千広」が転校してきたのだから。これも「意外」ではある。しかしそれ以上に意外だったのは、「千広」が「サクヤ」をかばってくれたことだった。「サクヤ」は、部活の説明会のためにステージに立っていた。しかし「サクヤ」は、うまく部活の紹介ができず孤立してしまう。そんなとき「千広」は、かばってくれた。…が、すぐに「千広」は説明会の会場から逃げるように去っていった。
そんな「千広」を追いかける、「サクヤ」。「千広」に追いつくと、「サクヤ」は言う。
サクヤ「待… 待ってよ!待って!!
千広君… ちょっと勝手だよ
助けてくれたのは感謝したい
…けど でも勝手だよ…っ
関わらないって言ったのは
千広くんのほうなのになのに
わけわかんないよ…
なんで…何考えてるのか
わかんない わけわかんないよ…っ
なのに なんで…
何考えてるのかわかんない
全然わかんないよっ ちひ…」
これに対して、「千広」は反論する。
千広「うるさい!!
わかんないのは こっちだ!!
なんなんだ あんた… なんなんだよ!
なんで俺が… …っ
あんたが いつまでも
ふにゃふにゃしてるから
悪いんだろ!!」
サクヤ「ふ!?」
千広「動揺してる暇が
あったら さっさと
側にいる奴に 助け呼べよ!」
サクヤ「だっ」
千広「なんで俺が 助けくちゃ
いけないんだ!! 腹立つ!!!」
サクヤ「だっ」
と。このあたりからが、ページの最初で引用した部分です。
まず
「ぬけぬけしい」
という単語は、存在しません。文法的にいえば
「ぬけぬけと」
というのは「副詞」です。なので、「活用しない」はずです。なので、「形容詞(イ形容詞)」の接尾辞(活用語尾)であるはずの
「~しい」
は生まれてきません。
たぶん「サクヤ」の頭の中では、
「ぬけぬけと」+「~しい」=「ぬけぬけしい」
となる。そういうプロセスがあったのでしょう。
有村「なぁに~
ヲタしい話?
」
佐賀「おお有村氏 そちらも
忙しくなる 時期ですな」
有村「そうそう 〆切り近くてねー
寝てないのよー
でも今日は 月に一度の
カップリング討論会なの!」
--(以下略)
すぐ右に引用した画像は、『恋と選挙とチョコレート』1巻から。
主人公は、大島裕樹。そして、今回セリフがあるのは、有村と佐賀。
佐賀は、ようするに「オタク」。さいきんは、「オタク」とではなく「ヲタ」と呼ばれることも、多くなってきている。
それはそうとして、さいきん佐賀は、ガレージキットを作っているとのこと。主人公の大島は、佐賀とそんなことを話していた。そこにあらわれたのが、有村。彼女のセリフになっている、
有村「なぁに~
ヲタしい話?
」
というのが、「転成(品詞転換)」だということになります。
ためしに、この「ヲタしい」をgoogleで検索してみる。すると、
ヲタしい…約13,900件
でした(2014年1月現在)これは、かなり少ないといえるでしょう。比較のために、ふつう形容詞として認められるようなものと比べると、
たのしい…約86,400,000件
むなしい…約411,000件
ねたましい…約52,800件
という感じです。なので、この「ヲタしい]は「ふつうは使わない言いまわし」だといえます。別の言いかたをすれば、文法的にみて間違いのある表現だと指摘できます。
この点について、くわしくは
の
「ヲタしい」のほうも、ダブっていて不自然
を、ごらんください。
なお、「ぬけぬけしい」のほうもgoogleでしらべた。そうすると、
ぬけぬけしい…約215件
という結果となりました。こちらは、きわめて少数だということが、いえるでしょう。
「転成」の3つのパターン
「転成」という言葉は、3種類の意味で使われることがあります。このことは、上にかいたとおりです。
具体的にいうと、「転成」には3つのタイプがあります。
下の
だけを「転成」とするタイプ
(標準的な意味での「転成」)
下の
までを「転成」とするタイプ
(広い意味での「転成」)
下の
を「転成」とするタイプ
(最も広い意味での「転成」)
ふつう「転成」といった場合には、多くのばあい
だけを指しているといえます。
(標準的な意味での「転成」)という使いかたが、いちばん多いということです。
これより下では、この3つのタイプについてくわしく書いていくことにします。
「ゼロ派生」タイプ
ある品詞の単語を、異なる品詞の単語に変える。そのときに、変える前の単語のカタチと、変えた後の単語のカタチが、全く同じになっている。これが、「ゼロ派生」と呼ばれるタイプの「転成」です。
ここで、「ゼロ派生」という用語について説明しておきます。ここで出てきた「ゼロ派生」という用語は、「ゼロ」と「派生」に分けることができます。ですのでまず、「派生」というのがどういったものなのかについて、見ていくことにします。
例をあげてみましょう。たとえば、
「重い」+「~さ」=「重さ」
を見てみます。すると、
「形容詞(重い)」+「接辞(~さ)」=「派生語(重さ)」
と考えることができます。
「もともとの単語」に「接辞」をつけることを、「派生」といいます。そして、「派生」によって新しく生まれた単語を「派生語」といいます。
このことを踏まえたうえで、「ゼロ派生」とは何なのかについて、考えてみます。
これまで見てきたように、「派生」というのは「接辞」をつけ加えて「派生語」となります。ですが、なんの「接辞」も加えないで、「派生」をするものがあります。
ここで、考えかたを切りかえます。つまり、「ゼロの接辞」を添加して「派生語」をつくる、というように見方に変えます。すると、「何も接辞を添加しないで、派生語をつくる」と考えることができるようになります。
モノゴトを反対から見ているような、考えかたの転換だと思います。
このようにして、「ゼロ派生」は「転成(品詞転換)」の一種として扱われています。
「派生語」「接辞添加」タイプ
もとの品詞に「接辞(接尾辞など)」をつけて、別の種類の品詞を変える。そういったものが、このタイプの「転成」です。
このパターンのものは、「接辞(接尾辞など)」をつけ加えています。ですので単語の成りたちから言えば、「接尾辞添加」といえます。また、「接辞(接尾辞など)」」を加えることで、新しい意味のことばが「派生」して生まれたことになります。そのため、「派生語」とよぶことができます。
いちばん上であげた例が、これにあたります。ようするに、
「ぬけぬけ(+と)」+「~しい」=「ぬけぬけしい」
が、
「副詞」+「形容詞の接尾辞(しい)」=「形容詞」
だ、というわけです。
今回画像を引用したシーンは、2つとも
に当たります。
「複合語」タイプ
2つ以上の語が1つになって、もともとの意味とは違うことをあらわす。このことを「複合(合成)」と呼びます。そして、「複合(合成)」によって新しく作られた単語をものを「
複合語
」といいます。
この「
複合語
」のうち、品詞の転換をともなうものが、このページの「転成・品詞転換」にあたります。こちらが、いちばん広い意味での「転成」ということになります。
日本語の場合は、比較的「転成」がおこりやすい
日本語は、どちらかというと「転成(品詞転換)」がしやすい言語です。『現代英語学辞典』(石橋幸太郎[編集代表]/成美堂)によれば、次のパターンが目立つとされます。
動詞の連用形→名詞 (例:読み・書き)
形容詞の連用形→名詞 (例:多く・遠く)
他の品詞→副詞 (例:はじめ・たとえ)
他の品詞→接続詞 (例:なお・また・および・けれども)
他の品詞→間投詞 (例:よし・ちょっと)
このばあいの「転成」というのは、「ゼロ派生」タイプのことを指しています。
「転成(品詞転換)」に関連するレトリック用語
「転成(品詞転換)」は、ことばを本来とは違った使いかたをするものです。つまり、ルール違反をした言葉づかいをするということです。
そのため、「転成(品詞転換)」によって生まれた単語は、そのカタチだけを見れば、間違いということになります。
このように、「転成(品詞転換)」が形式的には「間違い」となります。この点に着目することもできます。そのばあいには、「
マラプロピズム
」(誤用語法)だということもできます。
「転成(品詞転換)」があると、不自然になる
「転成(品詞転換)」が生じると、違和感が出てきます。その不自然な感じを持ってしまう理由をかいておきます。
「ぬけぬけ」+「~しい」=「ぬけぬけしい」は、不自然
「~しい」というのは、接尾辞(または活用語尾)の1つです。名詞とか動詞の未然形とかにくっついて、形容詞をつくります。そのものの様子とか状態とかをあらわすのに、使います。
なので、ふつうは「ぬけぬけ(と)」という「副詞」には使われません。ルール違反です。「ぬけぬけしい」は、不自然なのです。
ところが、わざとルール違反をする。たとえば今回のように、名詞や動詞につく「~しい」ということばを、「ぬけぬけ(と)」に結びつける。そして、今までにない新しい形容詞をつくる。ここが、「転成(品詞転換)」だと指摘できるわけです。
意味がダブっているので不自然に感じる
では、「ぬけぬけ(と)」と「~しい」とで「ぬけぬけしい」を作る。これが、なぜ不自然だと思うのか。その理由は、おそらく、
効果が重なっている
からです。「ぬけぬけ(と)」という副詞、それ自体が状態や様子をあらわしている。にもかかわらず、状態や様子をあらわす形容詞の接尾辞(または活用語尾)である「~しい」を使う。状態や様子をあらわすという効果が、二重になってしまっているわけです。
ことばを使うときは、なるべく手短に伝えるのがふつうです。ことばは、できるだけカンタンに用いられます。これは「ことばの経済性」とよばれるものです。
なのにもかかわらず、効果が重なっている使いかたをする。それはつまり、「ことばの経済性」に反していることになります。
なので、ふつうは「副詞」と「~しい」とをくっつけることは、しません。したがって、「ぬけぬけしい」は不自然なのです。
「ヲタしい」のほうも、ダブっていて不自然
つぎに。「ヲタしい」のほうは、どうなっているのか。
まず「ヲタ」。これについては、「ナ形容詞(形容動詞)」のばあいと「名詞」のばあいがある、と考えておきます。なぜ、こんなふうにキッチリ分けることをしないのか。それは、実は「名詞」と「ナ形容詞(形容動詞)」との境目は、カンタンには見分けがつかないからです。
いちばんメジャーな、「名詞」と「ナ形容詞(形容動詞)」との見分けかた。それはたとえば、「~の」ということば(格助詞)をつけてみることです。「~の」をつけて通じれば、「名詞」というわけです。また「~な」ということばをつけることができれば、「ナ形容詞(形容動詞)」となります。
では、「~の」について。ここでは「人」を修飾するものとして、「~の人」を考えてみます。すると、
ヲタの人
となる。これは、私(サイト作成者)としては「ありうる」と考えます。
それでは、「~な」について。ここでも「人」を修飾するものとして、「~な人」を考えてみる。その結果、
ヲタな人
となった。こちらも、私(サイト作成者)としては「ありうる」と考えます。
ですのでこのサイトでは、この「ヲタ」は、「ナ形容詞(形容動詞)」のばあいと「名詞」のばあいがある、と考えておきます。なお国語辞典は、「おたく」については「名詞」としています。
それを踏まえて、「ヲタしい」を品詞分解してみます。で、どんなふうになったかというと、
ヲタ → ナ形容詞
しい → イ形容詞の接尾辞(活用語尾)
となりました。
ここでも、「ぬけぬけしい」と同じようなことが指摘できます。
つまり、二重なのです。「ヲタ」という「ナ形容詞(形容動詞)」自体が、(形容詞である以上は)状態や様子をあらわすものです。そして「~しい」という接尾辞(活用語尾)が、形容詞をつくる接尾辞(活用語尾)であるがゆえに状態や様子をあらわす。つまりダブっているのです。
おそらく、そのために「ヲタしい」には違和感があるのでしょう。
「転成(品詞転換)」と「マラプロピズム」との関係
「転成(品詞転換)」は、ことばを本来とは違った使いかたをするものです。つまり、ルール違反をした言葉づかいをするということです。
そのため、「転成(品詞転換)」によって生まれた単語は、カタチの上では間違いということになります。
そういった「転成(品詞転換)」がもっている「ことばの使いかたを間違い」という面に着目する。そのばあいには、「
マラプロピズム
」(誤用語法)だということもできます。
転成、品詞転換
転換、品詞転用、品詞交替
範疇変化、機能推移、範疇変更、範疇転換
『国語学大辞典』(国語学会[編]/東京堂出版)
日本語での「転成(品詞転換)」を説明している本は、ほとんどありませんでした。日本語での「転成(品詞転換)」の説明がある本として、こちらを紹介します。じつは、上の
で「転成」を
と分けたのは、この本を参考にしています。
『大修館英語学事典』(松浪有・池上嘉彦・今井邦彦[編] /大修館)
英語での「転成(品詞転換)」について書かれている本は、いろいろあります。そのなかで、かなり手厚く説明されている本として、こちらをあげておきます。
そういえば、『問題な日本語』というタイトルの本が…
ちょっと前(かなり前?)に流行った本に、『問題な日本語』というのがありました。この本のタイトルは、「転成(品詞転換)」になっています。
そして、この「問題な日本語」というフレーズが使っているレトリックは、「転成(品詞転換)」だけではありません。ここには「
代換
」というレトリックが、からんでいます。そのため、『問題な日本語』というタイトルをキチンと理解するのが、さらに難しいものとなっています。
おおまかに説明すると、
「
代換
」の部分について
『
問題
な
日本語
』→『
日本語
な
問題
』
また
「転成(品詞転換)」の部分について
『日本語
な
問題』→『日本語
の
問題』
ということになります。
「転成(品詞転換)」それ自体にも、文法から外れることになるレトリックです。
けれども、「
代換
」のほうも、文法に反するようなレトリックです。
この相乗効果によって、『問題な日本語』の違和感は生まれているといえます。
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