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呼びかけ法
関連レトリック
呼びかけ法
呼びかけ法
よびかけほう
apostrophe
(学校のにおい♡)
「わーいっ
3年間よろしく高校!!
キャーッ」
-『パフェちっく!』1巻27ページ
(ななじ眺/集英社 マーガレットコミックス)
呼びかけ法
は、その場にいる人間以外のものに呼びかけるレトリックです。呼びかける相手は、いろいろなものがあります。
感情の高まりによって、意気込むようすを伝える
抑えることができなくなった内面の高ぶりが、あふれ出す。そのような、感情の高まりをあらわします。
:高まる、盛り上がる、盛り上げる、強まる、強める、強化、増強、発揚、超越、優越、高揚、意気込む、意気込み、勇む、勇み立つ、奮う、奮い立つ、奮い起こす、感情の喚起、呼びおこす
非難や攻撃など、批判的なことを頓絶した部分であらわす
ここに非難や攻撃など、批判的なことをがあります。たしかに、これをダイレクトに伝えてもかまいません。ですが、頓絶した部分に示唆されたカタチであらわせば、それ以上の効果をあげることができます。
:非難、とがめる、とがめだて、追及、攻撃、苦情、いちゃもん、言いがかり、難癖
「忠告」「助言」や「指示」「命令」などができる
「忠告」などのアドバイスを伝えることが、「呼びかけ法」の役割です。また時には、強い口調で「命令」をするといったもあります。
:忠告、注意、忠言、意見、さとす、説諭、助言、アドバイス、指導、説得力、唱える、言い立てる、申し立てる、言い通す、言い張る、提唱、指示、言いつける、仰せつける、命令、指令、決まり、規則、ルール、法、規律、規範
話し手(書き手)を鼓舞したり、激励したりできる
ばあいによっては「呼びかけ法」は、相手を鼓舞したり激励したりできます。
:鼓舞、勧める、奨励、激励、応援、引き立てる
「その場にいない人物」に語りかける
「その場にいない人物」に語りかける。これに分類されるものとしては、「死者」「歴史上の人物」にような、今では存在しないものも含まれます。
:不在
「架空の人物」に語りかける
「架空の人物」に語りかける。これには、「想像上の人物」や「神」といった、現実には存在しないものが含まれます。
:架空、想像、イマジネーション、空想、神、神様
「擬人化された物や概念」に語りかける
「擬人化された物や概念」に語りかける。これには、「自然」や「動植物」といった、そもそも人間ではないものへの呼びかけが含まれます。
:擬人化、物、概念、観念、抽象的
「読者や聞き手」に語りかける
「読者や聞き手」に語りかける。これには、受け手(読み手や聞き手)を話に引きずりこむといった効果があります。
:読者、読み手、書き手、聞き手、聞き役、引きずりこむ、連れ込む、共感、同感
例文は『パフェちっく!』1巻から。
主人公は亀山風呼。
今日から、高校生活がはじまった。ところが学校から帰るときに、置いてきた忘れ物に気がつく。で、誰もいない学校の教室に入ったのが、引用のシーンです。
3年間よろしく高校!!
と風呼が「高校」に話をしているところが、「呼びかけ法」に当たります。
高校は「人間」ではありません。ですが、高校という物が「擬人化」されて、話しかけられています。ですので、「呼びかけ法」にあたります。
「呼びかけ法」と「設疑法」との関係
人間以外のものに話すというのは、「
設疑法
」にも通じるものがあります。
その点については、くわしくは 「
設疑法
」のほうに書いておきました。ですので、そちらをご参照ください。
「呼びかけ法」と「擬人法」「感嘆法」との関係
多くのばあい、この「呼びかけ法」は「
擬人法
」は同時に使われます。
もちろん、遠くにいる人間に呼びかけるようなとき。そのばあいは、「呼びかけ法」であるけれども「
擬人法
」ではないことになります。
ですが、抽象的なものを「
擬人法
」した上で、これを「呼びかけ法」とする。こちらのほうが大部分です。そのため基本的には、「呼びかけ法」は「
擬人法
」と一緒にあらわれます。
「
感嘆法
」も、「呼びかけ法」と同時にあらわれることの多いレトリックです。「呼びかけ法」は、心の高揚をあらわすレトリックです。そのため多くのばあい、「
感嘆法
」とともに、あらわれるのです。
「呼びかけ法」のグループに含まれるレトリック
『レトリック事典』は「感嘆法」のグループに、「呼びかけ法」以外にもレトリック用語を並べています。具体的には、
3-2-2
感嘆
の下位クラス
3-2-2-1 《呼びかけ》 → 呼びかけ法
3-2-2-2 《驚嘆》
3-2-2-3 《願望》
3-2-2-4 《祈願》 →
祈願法
3-2-2-5 《嘆願》
3-2-2-6 《訴願》
3-2-2-7 《誓願》
3-2-2-8 《歓喜[の叫び]》
3-2-2-9 《祝福》
3-2-2-10 《呪詛/のろい》
3-2-2-11 《脅迫》
3-2-2-12 《嫌忌》
3-2-2-13 《慨嘆》
3-2-2-14 《悲嘆》
3-2-2-15 《忍苦》
3-2-2-16 《感嘆結語》
とまあ合計16個ほど、延々と並べています。
しかし。
この16個ほど並べられたレトリックは、かんたんに今の日本語の文章に見つかるものではありません。現代の日本語のことを考えると、こんなに16個通りにも区分けするのは、かなり難しいことです。
そのことは、この16個のレトリックを解説するときに『レトリック事典』があげている例文をあげていれば、わかります。もれなくすべて、訳文なのです。日本語の文章は、1つもありません。
やっぱり、日本語では。こんなに数多く分類しておく必要は、なさそうです。
なので、4種類にまとめた
このページで取りあげている、「宣誓・宣言」というレトリック。これには、近いかんじのするレトリックが、いくつかあります。なので、そのあたりを紹介しておくことにします。
宣誓・宣言(oath)
神聖なものに誓う、というカタチをとるもの。ただし「誓う」という言葉は使ってはいるものの、実際には、その誓ったことばを強調するというニュアンスが与えられる程度。
(『日本語の文体・レトリック辞典』、『日本語レトリックの体系』、『レトリックの本(別冊宝島 25)』(石井慎二[編]/JICC出版局) 』、ほか)
宣言(swearing)
もともとは、「神に誓う」という本来の目的があった。だけれども時代とともに、「みだりに神の名を口にすることになる。なので、神聖をけがす言葉づかいだ」という意味を持った。このため「宣言」という単語が、使った相手を非難する言葉を示すことになった。さらに、現代では「悪口を言うこと」「ののしること」ということも表すようになった。
(『現代英語学辞典』(石橋幸太郎[編集代表]、勇康雄・宇賀治正朋・勝又永朗・鳥居次好・山川喜久男・渡辺藤一[編集]/成美堂)、ほか)
願望(optation)
これは、自分が望んでいるモノゴトを、感嘆を使って表現すること。願望する相手が「神や仏」に限らないというところに、ほかのものと違いがある。
(『レトリック事典』、ほか)
祈願・懇願・嘆願(obsecration)
苦しいときに、神などの神聖なものに祈ること。日本人が正月に「神社仏閣」に行って(心の中で)祈るということ。それは、このレトリック用語がピッタリすると思う。
(『文学修辞学?文学作品のレトリック分析?』(H.ラウスベルク[著]、萬澤正美[訳]/東京都立大学出版会)、『レトリック事典』、ほか)
呼びかけ法
頓呼法・頓呼
呼び掛け法、呼びかけ、呼掛法、招呼法
転訴、問いかけ、アポストロフィー
『日本語修辞辞典』(野内良三/国書刊行会)
「呼びかける対象」を、いくつかに分類しています。上のほうの「使いかた」の区分けは、この本を参考にしたものです。
『文学修辞学-文学作品のレトリック分析-』(H.ラウスベルク[著]、萬澤正美[訳]/東京都立大学出版会)
この本にも、似たような分類が書かれています。ただ例文が、英語だったりドイツ語だったりフランス語だったりするので、ちょっと読みづらいです。いちおう、例文の日本語訳は書いてあるのだけれど。
このレトリック用語を「呼びかけ法」という名前にしている理由
このレトリックの名前については、「頓呼法」というのもメジャーです。
私(サイト作成者)は、「頓」という漢字が常用漢字外だということから使うのを避けて、「呼びかけ法」というほうを採用しました。ですが「頓呼法」のほうも、同じくらいよく使われる呼びかたです。
関連するページ
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擬人法
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